フリーランス新法第九条|勧告を経た後に公正取引委員会が下せる命令とは?

フリーランス新法が令和6年11月1日施行されます。

このブログはフリーランスと事業者がお互いにもっと働きやすくなるように、フリーランス新法に何が定めてあるのかを読み解くシリーズです。

第九条は公正取引委員会が下すことができる「命令」について定められました。

新しいルールを理解して、お互いが気持ちよく働けるような環境を整えましょう。

働くヘルメット

執筆者:佐藤きなこ
行政書士試験に合格後、現在事務所開設に向けて邁進中です。公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁のフリーランス新法関連ページを読破しました。フリーランスと企業がそれぞれ気持ちよく働くためのヒント情報をどこよりもわかりやすく解説することに挑戦中です。

フリーランス新法-第九条(命令)を全体的に捉えよう

第九条は第八条の「勧告」よりも強い効果をもつ「命令」について定められました。

第八条を根拠に、法に違反している事業者に向けて公正取引委員会が「勧告」をします。
そこで解決できれば良いのですが、残念ながら解決できなかった場合に、この第九条を根拠に「命令」を下すことが出来ます。

また、公正取引委員会が命令を下した場合はその旨を公表することもできます。もし公表されると、今後取引先から契約を解除されたり、信用を得ることが難しくなるなどの不利益が発生すると予想できます。

こういった、第八条に比べてかなり厳しい「命令」について定められたのが第九条です。

フリーランス新法の正式名称について

この法律の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

また内閣官房や中小企業庁などの資料やサイトでは「(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が続きます。こちらの方が法律の内容が想像しやすいですね。

いずれにしろとても長いタイトルだからか、フリーランス法またはフリーランス新法という通称が根付きつつあります。

※ここから↓の条文は全てe-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」から引用しました。

【条文】フリーランス新法-第九条

公正取引委員会は、前条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該勧告を受けた者に対し、当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

もし理由もなく勧告に従わなかったら

勧告が命令に

対象
この法律の第三条から第六条までの「してはいけませんよ」という規定に違反した事業者で、すでに勧告を受けたのに、正当な理由なく従わなかった事業者

事業者はその後どうなるか
勧告の内容を「命令」される

【条文】フリーランス新法-第九条2項

公正取引委員会は、前項の規定による命令をした場合には、その旨を公表することができる。

公表

公正取引委員会が命令したことを公表することができる
※公表の様式は厳密には定められていないが、下請法違反の企業名が公式ホームページで公表されているため、フリーランス新法も同様になるのではないかと予想しています。

行政が公表を行う狙いとしては、・国民の安全、利益の保護 ・法律違反企業への制裁 としての二つの意味を持つことが多いですが、その形式までは決められていないようです。

最後に、公表の形式ですが、法律上特に決められてはおらず、公表者である大臣の判断に任されているようです。必ずしも官報掲載には限られず、ホームページや新聞等への掲載を念頭に置いている例も多いようです。
引用元)参議院法制局「企業名の公表

どんな法律違反を行ったのか、その性質に合わせて、都度最適な方法を選ぶのでは、と考えられます。

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