フリーランス新法第五条|事業者側のフリーランスに対する禁止行為とは?

フリーランス新法が令和6年11月1日施行されます。

このブログはフリーランスと事業者がお互いにもっと働きやすくなるように、フリーランス新法に何が定めてあるのかを読み解くシリーズです。

第五条にはフリーランス側に事由が無い時に「事業者側がやってはいけないこと」が定められました。

事業者側とフリーランス側がお互いに「この業務委託は第五条の範囲内かな?」と都度判断することで、業界全体の雰囲気が明るくなることにつながります。

新しいルールを理解して、お互いが気持ちよく働けるような環境を整えましょう。

この記事でわかること
・事業者側が業務委託する際にフリーランスにしてはいけないこと。

こんな方におススメ記事です
・事業者に搾取されていないか判断できるようになりたいフリーランスへ
・業務委託する際にいつも心がけるべきことは何かを知りたい事業者へ

働くヘルメット

執筆者:佐藤きなこ
行政書士試験に合格後、現在事務所開設に向けて邁進中です。公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁のフリーランス新法関連ページを読破しました。フリーランスと企業がそれぞれ気持ちよく働くためのヒント情報をどこよりもわかりやすく解説することに挑戦中です。

フリーランス新法-第五条(特定業務委託事業者の遵守事項)を全体的に捉えよう

最初に第五条には何が定められているのかを全体的に把握しましょう。

図解第五条

第五条は、フリーランスが委託された業務内容に従って働いている(給付)のに、事業者側が誠実に対応してくれないケースを取り締まる条文です。

・1項→フリーランスからの給付(業務)に対する事業者の対応
・2項→フリーランスに労働力またはお金を不当に提供させること

に大きく分けられています。

フリーランス新法の正式名称について

この法律の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

また内閣官房や中小企業庁などの資料やサイトでは「(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が続きます。こちらの方が法律の内容が想像しやすいですね。

いずれにしろとても長いタイトルだからか、フリーランス法またはフリーランス新法という通称が根付きつつあります。

※ここから↓の条文は全てe-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」から引用しました。

※条文以外の情報は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット」より参照しました。(文中に【参照)パンフレット〇P】と表記します)

【条文】フリーランス新法第五条|事業者の禁止行為1

特定業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託(政令で定める期間以上の期間行うもの(当該業務委託に係る契約の更新により当該政令で定める期間以上継続して行うこととなるものを含む。)に限る。以下この条において同じ。)をした場合は、次に掲げる行為(第二条第三項第二号に該当する業務委託をした場合にあっては、第一号及び第三号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。
一 特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、特定受託事業者の給付の受領を拒むこと。
二 特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、報酬の額を減ずること。
三 特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、特定受託事業者の給付を受領した後、特定受託事業者にその給付に係る物を引き取らせること。
四 特定受託事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額を不当に定めること。
五 特定受託事業者の給付の内容を均質にし、又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。

事業者のフリーランスに対する禁止行為とは?

事業者の禁止行為

この条文が適用されるのは
・「従業員を使用する事業者」が
・フリーランスに
・1か月以上の業務委託をする時
(この条文の「政令で定める期間以上」が1か月以上とされている)
※参照)パンフレット14P

業務委託が「役務の提供」の場合
・事業者は二号、四号、五号をしてはならない

フリーランス新法第五条2項|フリーランスの利益を害する行為

特定業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、次に掲げる行為をすることによって、特定受託事業者の利益を不当に害してはならない。
一 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
二 特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、特定受託事業者の給付の内容を変更させ、又は特定受託事業者の給付を受領した後(第二条第三項第二号に該当する業務委託をした場合にあっては、特定受託事業者から当該役務の提供を受けた後)に給付をやり直させること。

事業者がフリーランスの利益を害する行為とは?

フリーランスの利益を害する行為

※この条文が適用される条件は1項と同じ

・「不当」とは「正しくない、違法ではないが道理に外れている」行為のこと。
・2項に該当する行為はフリーランスのお金、時間、労働力のいずれかを搾取していることになるため禁止される

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