フリーランス新法第二条|この法律の重要語句7つの意味はここで確認!

フリーランス新法が令和6年11月1日施行されます。

このブログはフリーランスと事業者がお互いにもっと働きやすくなるように、フリーランス新法に何が定めてあるのかを読み解くシリーズです。

第二条はこの法律の用語集のようなものです。

フリーランスや事業者のことをこの法律では何と呼ぶのか、などが定められています。

第三条以降を読むために必要な条文です。語句に慣れるまでは第二条に戻りながら進みましょう。

この記事でわかること
・この法律で使われる用語が指すもの

こんな方におススメ記事です
・この法律の第三条以降を読み解く時に、誤解や読み間違いを防ぎたい方
・これってなんだっけ?をすぐ知りたい方

働くヘルメット

執筆者:佐藤きなこ
行政書士試験に合格後、現在事務所開設に向けて邁進中です。公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁のフリーランス新法関連ページを読破しました。フリーランスと企業がそれぞれ気持ちよく働くためのヒント情報をどこよりもわかりやすく解説することに挑戦中です。

フリーランス新法第ニ条(定義)を全体的に捉えよう

最初に第二条には何が定められているのかを全体的に把握しましょう。

図解第二条

第二条は全部で7項あり、「特定受託事業者」「特定受託業務従事者」「業務委託」「情報成果物」「業務委託事業者」「特定業務委託事業者」「報酬」とはどういうものを指すのかについて書かれています。

・「受託」→フリーランスのこと(1項、2項)
・「委託」→発注事業者のこと(5項、6項)
・その他→3項、4項、7項
と頭を整理した後に、細かな違いをインプットしていくのがおススメです。

フリーランス新法の正式名称について

この法律の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

また内閣官房や中小企業庁などの資料やサイトでは「(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が続きます。こちらの方が法律の内容が想像しやすいですね。

いずれにしろとても長いタイトルだからか、フリーランス法またはフリーランス新法という通称が根付きつつあります。

※ここから↓の条文は全てe-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」から引用しました。

【条文】フリーランス新法第ニ条1項|特定受託事業者

この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 個人であって、従業員を使用しないもの
二 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。第六項第二号において同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの

特定受託事業者とはどんな事業者のこと?

特定受託事業者

・業務を受注する側(フリーランス側)のこと
・本業、副業を問わない
・個人、法人(株式会社や合同会社等)を問わない
・本人以外に役員や従業員がいる場合は特定受託事業者にはあたらない

【条文】フリーランス新法第ニ条2項|特定受託業務従事者

この法律において「特定受託業務従事者」とは、特定受託事業者である前項第一号に掲げる個人及び特定受託事業者である同項第二号に掲げる法人の代表者をいう。

特定受託業務従事者とはどんな人のこと?

特定受託業務従事者

・業務を受注する側(フリーランス側)のこと
・1項と違い「個人」が対象(法人の場合は法人代表者である個人を指す)

1項と2項はどちらもフリーランス側を指しますが、なぜ区別するのか、考えられる理由をこちらにまとめました。

【条文】フリーランス新法第ニ条3項|業務委託

この法律において「業務委託」とは、次に掲げる行為をいう。
一 事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造(加工を含む。)又は情報成果物の作成を委託すること。
二 事業者がその事業のために他の事業者に役務の提供を委託すること(他の事業者をして自らに役務の提供をさせることを含む。)。

業務委託とはどんな行為のこと?

業務委託

業務委託だと認められるのは、事業者の事業のための仕事であること。

<業務の内容>
・物品の製造、加工
・情報成果物の作成
・役務の提供
のいずれかであること

【条文】フリーランス新法第ニ条4項|情報成果物

前項第一号の「情報成果物」とは、次に掲げるものをいう。
一 プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)
二 映画、放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの
三 文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの
四 前三号に掲げるもののほか、これらに類するもので政令で定めるもの

情報成果物とはどんな物のこと?

情報成果物

二条3項一号の「情報成果物」とは何かを具体的に示したもの
・下請法2条6項と同じ文言。

【条文】フリーランス新法第ニ条5項|業務委託事業者

この法律において「業務委託事業者」とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者をいう。

業務委託事業者とはどんな事業者のこと?

業務委託事業者

・業務を発注する側(クライアント側)のこと

・個人、法人を問わない
・現在フリーランスとして働いている個人が別のフリーランスに発注する側になった場合も対象

【条文】フリーランス新法第ニ条6項|特定業務委託事業者

この法律において「特定業務委託事業者」とは、業務委託事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 個人であって、従業員を使用するもの
二 法人であって、二以上の役員があり、又は従業員を使用するもの

特定業務委託事業者とはどんな事業者のこと?

特定業務委託事業者

・業務を発注する側(クライアント側)のこと
・5項と違い個人、法人ともに本人以外にスタッフがいる事業者が対象

5項と6項はどちらも発注事業者側を指しますが、なぜ区別するのか、考えられる理由をこちらにまとめました。

「従業員を使用」とはどんな状態のこと?
・1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みの労働者を雇用すること。
・派遣労働者を受け入れている場合も含まれる。
・使用されている人が同居親族のみの場合は除く。
参照元)「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレットの4ページ

【条文】フリーランス新法第ニ条7項|報酬

この法律において「報酬」とは、業務委託事業者が業務委託をした場合に特定受託事業者の給付(第三項第二号に該当する業務委託をした場合にあっては、当該役務の提供をすること。第五条第一項第一号及び第三号並びに第八条第三項及び第四項を除き、以下同じ。)に対し支払うべき代金をいう。

報酬とはどんな代金のこと?

報酬

・事業者がフリーランスに支払う代金のこと

報酬を国語辞典で調べると、とても多くの言葉で言い換えられることがわかります。
(参照→goo辞書「報酬(ほうしゅう) の類語・言い換え
こういった言葉の揺れを起こさないために、この法律では、報酬とは何を指すのかを定義してくれたのだとも思えます。

Question1|1項と2項を区別する理由は?

「ん?結局1項と2項の違いは何?わざわざ法人を省く必要ある?」と思った方がいらっしゃるかもしれません。わかりやすく解説されていたサイトがあったので引用いたします。

特定受託業務従業者というのは、「特定受託事業者」である個人または法人の代表者その人を指します。法人が「特定受託事業者」である場合、法人それ自体へのハラスメント等は観念されないので、個人又は法人の場合の代表者その人である自然人をこのように別途定義したものです。
引用元)池田総合法律事務所「フリーランス保護法(正式名称:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)について

1項は個人も法人も「特定受託事業者」ですが、2項は個人そのものを「特定受託業務従業者」と呼びますよ、という定義のために設けられた項です。

例えばフリーランス新法14条は事業者が特定受託業務従業者に業務委託する時の言動に関する規定を定めたものですが、この場合相手を特定受託事業者のまま法人も対象にしてしまうと意味が通じなくなる部分があり、やはり「個人」そのものを対象としたいため、この項が設けられました。

Question2|5項と6項を区別する理由は?

フリーランス新法には第五条に「特定業務委託事業者の遵守事項」とわざわざ特定業務委託事業者に限定した条文が設けられています。1項と2項と区別する理由と同じく、後続の条文のために対象を分ける必要があるのです。

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