フリーランス新法第十三条|フリーランスに妊娠、育児、介護などの事情がある場合

フリーランス新法が令和6年11月1日施行されます。

このブログはフリーランスと事業者がお互いにもっと働きやすくなるように、フリーランス新法に何が定めてあるのかを読み解くシリーズです。

第十三条には妊娠、出産、育児、介護などの事情を抱えるフリーランスに対して、事業者がどう配慮すべきかが定められました。

新しいルールを理解して、お互いが気持ちよく働けるような環境を整えましょう。

働くヘルメット

執筆者:佐藤きなこ
行政書士試験に合格後、現在事務所開設に向けて邁進中です。公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁のフリーランス新法関連ページを読破しました。フリーランスと企業がそれぞれ気持ちよく働くためのヒント情報をどこよりもわかりやすく解説することに挑戦中です。

フリーランス新法-第十三条(妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮)を全体的に捉えよう

最初に第十三条に定められたことを全体的に捉えましょう。

図解第十三条

第十三条には妊娠、出産、育児、介護といった家庭の事情を抱えるフリーランスに事業者がどう対応するべきかが定められました。

時代が進み、核家族化の進行、少子高齢化、長寿化、ライフプランニングの変化など様々な要因が重なり子育てや介護に関する悩みも深刻化しています。なんとか子育てや介護と自分の生活を両立させるために「フリーランスで働く」という選択をする人も増えているのではないでしょうか。

そういったフリーランスの事情を知り、どうすればこの先も働いてもらえるかを一緒になって考えることが、事業者にとってもこの先長くこの社会で事業を続けるために必要だと考えられます。

また事業の性質上どうしてもそういった事情を抱えるフリーランスに働き続けてもらうことが不可能だという判断に至ったとしても、一度深く検討したという事実は残ります。困難な社会を共に生きる事業者とフリーランスの双方にとって良い未来を築くために、必要なヒントを必ずもたらしてくれます。

「配慮」と言われると少し難しく思えますが、まずはお互いの考え方や気持ちを充分に話し合うことから始めてみましょう。

フリーランス新法の正式名称について

この法律の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

また内閣官房や中小企業庁などの資料やサイトでは「(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が続きます。こちらの方が法律の内容が想像しやすいですね。

いずれにしろとても長いタイトルだからか、フリーランス法またはフリーランス新法という通称が根付きつつあります。

※ここから↓の条文は全てe-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」から引用しました。

【条文】フリーランス新法第十三条

特定業務委託事業者は、その行う業務委託(政令で定める期間以上の期間行うもの(当該業務委託に係る契約の更新により当該政令で定める期間以上継続して行うこととなるものを含む。)に限る。以下この条及び第十六条第一項において「継続的業務委託」という。)の相手方である特定受託事業者からの申出に応じて、当該特定受託事業者(当該特定受託事業者が第二条第一項第二号に掲げる法人である場合にあっては、その代表者)が妊娠、出産若しくは育児又は介護(以下この条において「育児介護等」という。)と両立しつつ当該継続的業務委託に係る業務に従事することができるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をしなければならない。

目標は「両立」してもらうこと

両立のため1

継続的業務委託とは
6か月以上の期間で行う業務委託

両立すべき事情
妊娠に関する体の変化や出産にともなう休業、その他育児や介護のため変更が必要な就業時間や納期など

1項のポイント
6か月以上の期間で行う業務委託の場合、フリーランスもこの事業者に経済的に頼らざる部分があるため、この場合は「配慮する義務」が事業者に生じる

【条文】フリーランス新法第十三条2項

特定業務委託事業者は、その行う継続的業務委託以外の業務委託の相手方である特定受託事業者からの申出に応じて、当該特定受託事業者(当該特定受託事業者が第二条第一項第二号に掲げる法人である場合にあっては、その代表者)が育児介護等と両立しつつ当該業務委託に係る業務に従事することができるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をするよう努めなければならない。

契約が6か月「以上」続くものか否かで条文が分けられている

両立のため2

継続的業務委託以外とは
6か月未満の期間で行う業務委託

両立すべき事情
妊娠に関する体の変化や出産にともなう休業、その他育児や介護のため変更が必要な就業時間や納期など

2項のポイント
6か月未満の期間で行う業務委託の場合は「配慮努力義務」。1項とニュアンスが違うが、この法律の目的は「両立できるように」配慮することだということに注意。

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