フリーランス新法第十一条|事業者もフリーランスも立入検査されるかも?

フリーランス新法が令和6年11月1日施行されます。

このブログはフリーランスと事業者がお互いにもっと働きやすくなるように、フリーランス新法に何が定めてあるのかを読み解くシリーズです。

第十一条は、この法律を運用するために必要な中小企業庁長官、公正取引委員会が持つ権限について定められました。

新しいルールを理解して、お互いが気持ちよく働けるような環境を整えましょう。

働くヘルメット

執筆者:佐藤きなこ
行政書士試験に合格後、現在事務所開設に向けて邁進中です。公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁のフリーランス新法関連ページを読破しました。フリーランスと企業がそれぞれ気持ちよく働くためのヒント情報をどこよりもわかりやすく解説することに挑戦中です。

フリーランス新法-第十一条(報告及び検査)を全体的に捉えよう

第十一条は、中小企業庁長官と公正取引委員会に与えられた権限と、その権限を使う時の注意点などについて定められました。

この法律を運用していくために、この二つの機関にはいざという時にかなり強い権限が与えられました。そういった強い権限は、決して濫用されていいものではありません。ですのでそういった行為を防止するために、権限を使う時には身分を明かすこと、そしてこの法律に定められた行為は犯罪捜査と同じものではないことが明記されました。

フリーランス新法の正式名称について

この法律の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

また内閣官房や中小企業庁などの資料やサイトでは「(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が続きます。こちらの方が法律の内容が想像しやすいですね。

いずれにしろとても長いタイトルだからか、フリーランス法またはフリーランス新法という通称が根付きつつあります。

※ここから↓の条文は全てe-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」から引用しました。

【条文】フリーランス新法第十一条

中小企業庁長官は、第七条の規定の施行に必要な限度において、業務委託事業者、特定業務委託事業者、特定受託事業者その他の関係者に対し、業務委託に関し報告をさせ、又はその職員に、これらの者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

中小企業庁長官に与えられた権限は?

中小企業庁長官の権能

中小企業庁長官にできるのは
・事業者、フリーランス、その他関係者に対し、業務に関する報告をさせられる
・中小企業庁の職員に、関係各所の事務所などに立ち入り帳簿書類や物件を検査させることができる
の二点

中小企業庁長官ができるのは、第三条から第五条の規定違反が疑われる時の調査、そして事実だった場合の公正取引委員会への措置請求です。
その調査に必要な場合は、上記の二点が許されます。

【条文】フリーランス新法-第十一条2項

公正取引委員会は、第八条及び第九条第一項の規定の施行に必要な限度において、業務委託事業者、特定業務委託事業者、特定受託事業者その他の関係者に対し、業務委託に関し報告をさせ、又はその職員に、これらの者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

公正取引委員会に与えられた権限は?

公正取引委員会の権能

公正取引委員会にできるのは
・事業者、フリーランス、その他関係者に対し、業務に関する報告をさせられる
・公正取引委員会の職員に、関係各所の事務所などに立ち入り帳簿書類や物件を検査させることができる
の二点

中小企業庁長官に与えられた権限と似ていますが、この権限を使える場面が違うことに注意です。
公正取引委員会は違反している事業者に対し勧告、命令をするために必要な限度でこの権限が使えます。

【条文】フリーランス新法-第十一条3項

前二項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

身分を明かすことが必要

身分証の提示

業務に関する報告をさせたり、事務所への立入、帳簿書類や物件の検査などを、中小企業庁長官または公正取引委員会の権限を利用してさせる時は、自分がどこの所属かを明示しなければいけない

【条文】フリーランス新法-第十一条4項

第一項及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

ここは勘違いしてはいけないよ

同じではない

この条文で与えられた権限はあくまで「この法律に違反している事実を調査するため」のものであり、犯罪捜査の為に許されている捜査権とは違うことをわきまえて調査しなければいけない

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